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2025.09.08

コラム

公的介護保険制度で受けられる福岡のサービス一覧|自宅で利用できる支援とは?

高齢になると、これまでできていたことが、ふと難しく感じる瞬間が増えてきます。
たとえば、着替え・入浴・買い物・掃除。
ちょっとした動作に、時間や労力がかかるようになることも少なくありません。

そのようなとき、頼りになるのが公的介護保険制度です。
この制度は、国が運営する高齢者のための支援です。
もし介護が必要になったときに、必要なサービスを受けられるよう設けられました。

福岡でも、多くのご家庭がこの制度を使いながら、在宅介護を続けています。
介護を受ける方にとっても、介護するご家族にとっても、大きな支えとなります。

ただし、制度には条件や制限もあります。
内容が少し複雑なため、よく理解しておくことが大切です。
知らないままだと、受けられるはずの支援を逃してしまうことになりかねません。

この記事では、公的介護保険制度とは何か、その基本を解説。
さらに、自宅で実際に受けられるサービス内容も紹介します。
ご自身やご家族の将来の備えとして、ぜひ最後までお読みください。

公的介護保険制度の対象と利用条件

公的介護保険制度を正しく利用するためには、対象となる人や、利用までの流れを理解しておくことが重要です。
ここでは、制度を利用できる条件や、申請に必要なステップをご紹介します。

対象となるのはどんな人?

介護保険の被保険者は、年齢によって2つの区分に分かれます。

65歳以上の方(第1号被保険者)
年齢が65歳以上で、介護や支援が必要と認定されれば、原因を問わず制度を利用できます。
病気やけがの有無にかかわらず、日常生活に支障があれば対象です。

40歳〜64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)
この年代では、特定の病気が原因で要介護状態となった場合に限り、制度が適用されます。
たとえば、脳卒中・認知症・パーキンソン病などが該当します。

高齢者だけでなく、若年層の病気による介護状態も対象となる場合がある点は、意外と知られていないかもしれません。

利用には要介護認定が必要

制度の利用には、必ず市区町村への申請と「要介護認定」を受けることが必要です。
この認定によって、受けられるサービスの内容や、月ごとの支給限度額が決まります。

認定までの基本的な流れ

申請
本人または家族が、住所地の市区町村に申請を行います。
地域包括支援センターでも相談可能です。

訪問調査
市区町村の調査員が自宅を訪問し、心身の状態を聞き取ります。
歩行や会話、食事の様子などが確認されます。

主治医の意見書提出
医師が現在の健康状態をまとめた意見書を提出します。

審査・判定
コンピューター判定と介護認定審査会による判断を経て、要支援または要介護度が決定されます。

認定結果の通知
申請からおおよそ30日以内に、認定結果が届きます。

要支援・要介護の区分とは?

認定結果は、大きく2つに分けられます。

要支援1・2
介護までは必要ないが、日常生活に支援が必要な状態です。
主に予防的な支援が提供されます。

要介護1〜5
介護の必要度に応じて5段階に区分されます。
数字が大きいほど、支援の内容も手厚くなります。

このように、制度の利用には一定の手続きと判断基準が設けられています。
まずは、ご自身やご家族の状況を把握し、早めに相談することが大切です。

在宅で受けられる主な介護保険サービス

公的介護保険制度を利用すれば、さまざまなサービスを自宅で受けることができます。
「住み慣れた家で暮らしたい」という思いを支えるために、在宅向けの支援はとても充実しています。
ここでは、代表的なサービスについて、内容や特徴をご紹介します。

訪問介護(ホームヘルプサービス)

ヘルパーが自宅を訪問し、生活の手助けをしてくれるサービスです。

主に、以下のような支援を受けられます。

・排せつや入浴、着替えなどの身体介護
・掃除や洗濯、買い物などの生活援助

身体介護と生活援助では、利用できる時間や頻度が異なります。
サービス内容は、ケアマネジャーが本人の状態に合わせて調整します。

訪問看護

看護師がご自宅を訪問し、医療的なサポートを行います。
主治医の指示に基づき、下記のような支援が受けられます。

・血圧測定や体調管理
・服薬の確認や管理
・床ずれの処置や点滴などの医療ケア

退院直後や持病がある方にとって、安心できるサービスです。
医療行為が必要な場合も、在宅での暮らしが可能になります。

訪問入浴介護

専用の浴槽と機材を使って、自宅での入浴をサポートします。
寝たきりの方や、ひとりでの入浴が難しい方に適したサービスです。

入浴は、身体を清潔に保つだけでなく、気分転換やリフレッシュにもつながります。
看護師と介護職員が同行するため、体調の変化にもすぐに対応できます。

通所介護(デイサービス)

自宅から施設へ通い、日中を安心して過ごせるサービスです。
利用者同士の交流ができることも、大きなメリットです。

・レクリエーションや体操
・食事や入浴のサポート
・送迎サービス

「外出の機会が減った」「家に閉じこもりがち」という方にもおすすめです。
ご家族の介護負担を軽減する、レスパイトケアとしての役割も果たします。

小規模多機能型居宅介護

「通い・訪問・泊まり」を一体的に提供するサービスです。
一つの事業所で、柔軟な対応が可能です。

たとえば、日中は通所、必要に応じて夜間は宿泊といった組み合わせもできます。
スタッフも顔なじみとなり、安心感のある支援が受けられます。

その他の在宅サービス

上記以外にも、以下のような支援があります。

・福祉用具のレンタル・購入
・住宅改修(手すりの設置や段差の解消など)
・訪問リハビリテーション

身体機能の維持や転倒防止に向けた環境整備も、在宅介護には欠かせません。

利用者負担と費用の目安

公的介護保険サービスは、すべてが無料で受けられるわけではありません。
基本的に、サービスごとに自己負担が発生します。
あらかじめ負担割合や費用の上限を理解しておくことで、無理のない利用につながります。

自己負担は「1〜3割」

介護保険サービスの利用には、原則1割〜3割の自己負担が必要です。
負担割合は、前年の所得によって決まります。

・多くの方は1割負担
・所得の高い方は2割または3割負担

たとえば、1万円分のサービスを利用した場合、自己負担が1割であれば1,000円の支払いとなります。
負担が重くなりすぎないよう、国の制度で一定の配慮がされています。

要介護度ごとに支給限度額が設定されている

公的介護保険では、月ごとに使える金額の上限が決まっています。
この上限を「支給限度額」と呼び、例えば下記のように要介護度に応じて段階的に設定されています。

  • 要介護1の場合:約17万円前後
  • 要介護5になると:約36万円前後まで利用可能

※金額は目安です。地域やサービス内容により異なる場合があります。

この限度額の範囲内であれば、自己負担は1〜3割に抑えられます。
しかし、限度額を超えた分は全額自己負担となるため、注意が必要です。

ケアマネジャーによる調整がポイント

限度額を上手に使うためには、ケアマネジャーの存在が欠かせません。
ケアプランを立てる際に、本人の状態や希望に合わせてサービスの配分を調整してくれます。

たとえば、デイサービスを週2回・訪問介護は毎日30分など、利用者の生活に無理のない設計が可能です。
サービスの組み合わせ次第で、限度額内でも十分な支援を受けられます。

公的介護保険の限界と民間サービスの役割

公的介護保険制度は、高齢者の生活を支える重要な仕組みです。
しかし、すべての介護ニーズに対応できるわけではありません。
制度の範囲外となる支援も多く存在し、そこを補うのが民間の在宅介護サービスです。
ここでは、公的制度の限界と民間サービスを活用するメリットについてご紹介します。

制度ではカバーできない支援とは?

介護保険のサービスは、主に基本的な日常動作に限られています。
そのため、生活の中で必要とされる次のような支援は対象外です。

・家の周囲の草取りや掃除
・ペットの世話や買い物の付き添い
・趣味活動や通院以外の外出支援
・話し相手としての見守りや傾聴
・長時間の家事代行や食事作り

また、時間や回数にも上限があります。
「もっと来てほしい」「夕方や夜にも来てほしい」といった希望には応じられないケースもあります。

制度の枠を超える柔軟な支援が可能

公的制度では対応できない支援が必要な際、注目されているのが自費による民間の在宅介護サービスです。
制度に縛られず、下記のように利用者の希望に合わせた自由なサポートが受けられます。

・週に何度でも利用可能
・1回あたり2時間以上の対応もOK
・家族の不在時の見守りや話し相手としての訪問
・本人の体調や好みに合わせた食事づくり

こうしたサービスは、制度では難しい心の支えにもつながるでしょう。

公的サービスと民間サービスは併用できる

どちらか一方しか利用できないと思われがちですが、公的介護保険と民間サービスは併用可能です。

たとえば、日中は訪問介護を利用し、夜間は民間のスタッフに見守りを依頼するなど、生活リズムに合わせた組み合わせが実現できます。

介護の負担が軽減されるだけでなく、ご家族の心にもゆとりが生まれます。

在宅介護を続けるための現実的な選択肢

高齢の家族を、できる限り自宅で見守りたい。
その想いを叶えるには、制度の限界を理解しながら、柔軟な選択肢を持つことが大切です。

民間サービスをうまく取り入れることで、介護の質が高まり、より安心できる生活が実現します。

▶︎在宅介護サービスの手続きから利用までについての記事はこちら

公的サービスと民間サービスの違い

在宅介護を行ううえで、公的介護保険サービスと民間の在宅サービスのどちらを使うべきか迷う方も多いでしょう。
ここでは、それぞれの特徴を比較し、どのような違いがあるのかを解説します。

利用条件の違い

公的サービスは、要介護認定を受けて初めて利用できます。
一方、民間サービスは認定がなくても申し込めます。

・公的サービス:要支援・要介護の認定が必要
・民間サービス:年齢や健康状態にかかわらず利用可能

たとえば、「まだ認定は受けていないけれど、ちょっとした手助けがほしい」という場合でも、民間サービスならすぐに対応してもらえます。

利用できるサービス内容の違い

公的サービスは、国が定めた基準に沿って提供されます。
そのため、サービスの種類や内容に制限があります。

・公的:入浴・排せつ・食事などの基本的な介護が中心
・民間:家事・見守り・外出付き添いなど、自由度が高い

たとえば、料理の準備やゴミ出し、ペットの世話などは公的には対象外ですが、民間なら対応可能な場合も多いです。

利用時間や回数の違い

公的サービスは、支給限度額の範囲内でのみ利用できます。
そのため、時間や回数に制限があります。

・公的:利用時間・回数に上限あり
・民間:希望に応じて柔軟に設定可能

「もう少し長く手伝ってほしい」「週に何回でも来てほしい」といったニーズには、民間サービスが適しています。

費用の違い

公的サービスは自己負担が1〜3割に抑えられます。
一方、民間サービスは全額自己負担です。

・公的:費用は安いが、利用制限がある
・民間:費用はかかるが、自由度が高い

費用面だけで判断するのではなく、どれだけ自分の希望に合っているかを基準に選ぶことが大切です。

スタッフや対応体制の違い

公的・民間どちらも、スタッフは一定の研修を受けています。
ただし、対応の柔軟さや依頼できる内容には違いがあります。

・公的:制度に沿った業務のみ対応
・民間:要望に応じて個別対応が可能

たとえば、「今日は買い物に付き添ってほしい」「お話し相手になってほしい」といったニーズには、民間サービスの方が融通が利きます。

▶︎在宅介護サービスのメリット・デメリットについての記事はこちら

福岡で在宅介護を始める方へ

福岡で在宅介護を検討している方にとって、まず「何から始めればいいのか」が悩みの種ではないでしょうか。
ここでは、地域で介護をスタートする際に役立つ基本的な情報と、サポート体制についてご紹介します。

まずは「地域包括支援センター」に相談

在宅介護を始める際の第一歩は、地域包括支援センターへの相談です。
各市町村に設置されており、高齢者の生活を総合的に支援する窓口です。

・要介護認定の申請方法
・介護保険の利用手続き
・地域の介護サービス事業者の紹介

これらを無料で案内してくれます。
家族だけで悩まず、専門機関に頼ることで負担も大きく軽減されます。

地元密着の介護事業者が多い

福岡には、地域密着型の介護事業者が多数あります。
訪問介護・看護・家事支援など、地域ごとに特色あるサービスを展開しています。

・地元のスタッフによるきめ細やかな対応
・移動距離が短く、急な依頼にも柔軟に対応
・地域事情に詳しく、安心して任せられる

特に民間サービスでは、「介護+家事」といった複合的なサポートを提供しているところもあり、制度ではカバーできない部分まで補えます。

家族だけで抱え込まないことが大切

在宅介護では、どうしても家族に負担が集中しがちです。
しかし、介護はひとりで頑張るものではありません。

「公的サービスだけでは不安」
「家事の手が回らない」
「誰かに話を聞いてほしい」

そう感じたときこそ、民間サービスを活用するタイミングです。
身近な支援を積極的に取り入れることで、介護生活に無理や我慢がなくなります。

まとめ

公的介護保険制度は、高齢者が自宅で安心して暮らすための大切な仕組みです。
訪問介護やデイサービスなど、多様なサービスを受けることができます。

ただし、制度には対象外となる支援や利用制限もあります。
草取り・見守り・話し相手といった、細やかなニーズには応えきれない場面もあるでしょう。

そのような時は、民間の在宅介護サービスを併用すると、制度ではカバーしきれない部分を柔軟に補うことができます。
福岡エリアにも地域に根ざした事業者が多数あり、ご家庭の状況に合わせた提案が可能です。

「公的な支援をベースに足りない部分を民間で補う」
この考え方が、家族も本人も無理なく在宅介護を続けるためのカギです。

大切なのは、ひとりで抱え込まないこと。
公的制度を上手に活用しながら、心にゆとりのある介護生活を築いていきましょう。

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